これは性的なイメージを加味した背景である。
一般的なセッションへの適用は推奨しない。
GMはプレイヤーとの性的嗜好のすり合わせに従い、任意の背景を使用禁止としてよい。
■娼婦
魅力的な容貌と肢体を持つ君は、毎晩のように体を売って生活してきた。
人は一人では生きられず、特定のパートナーがいなければ君のような“間に合わせ”が必要になる。これは種族や性別や文化を問わず、どこでも必要とされる仕事だ。都市や宿場ならどこでも娼館があるし、小村や宿場でも体を売る者が必ずいる。
どんな場所にいる娼婦であれ、君は数えきれない相手と肉体関係を持ってきた。それらの行為は既に日常の一部であり、特別なものではない。異種族との行為、アブノーマルな行為についても相当の経験があるだろう。
一夜の行為に恋や愛が皆無なわけではないが、大半は欲望や疲れた心を癒すための行為だ。マナーや加減を知らぬ客も多い。上客と思いきや修羅場を招く場合もあれば、同業者との衝突だってある。部外者が思う以上に君の仕事は過酷で、気苦労が多いのだ。
注意! 娼婦という呼称はわかりやすさを優先したものだ。男性の娼婦も多数いる。
技能習熟:〈性技〉〈誘惑〉
道具習熟:化粧道具
言語:任意の言語1つ(主な客の種族から)
装備:化粧道具(変装用具と扱う)、普通の服1着、娼婦の服1着、ベルトポーチ(10gp入り)
●在り方
娼婦は人の集まる場所ならどこにでもおり、その居場所と立場によって出自も異なる。
下の表から任意のものを決めるか、1D6をロールして決めること。
なお「神殿娼婦」は独立した背景として別記事で扱われる。
1:街頭娼婦。都市の街頭や路地で声をかけ、客を誘い売春を行う。浮浪児も多い。
2:娼館娼婦。特定の娼館で寝泊まりする。収入の大半を娼館に搾取され、外出の自由も基本的にない。奴隷、債務者、元孤児などが多い。
3:村の娼婦。村人や旅人を相手に売春し、食料や生活物資を得る。多くは未亡人や孤児。
4:宿場娼婦。平時は酒場で給仕や使用人として働いているが、望まれれば体を売る。
5:随行娼婦。商隊や軍隊に随行する放浪の娼婦。同行者を中心に売春しつつ、留まった町や村でも客をとる。
6:高級娼婦。高い教養を持ち、豪商や貴族の交流場に出入りして売春する娼婦。多くは没落した家の者であり、特定の人物に買われて愛人となる場合も多い。
●特徴:一夜の値段
君は酒場や路地で適切な相手に声をかけ、望まれれば娼婦として一夜買われてもよい。十分な伝手と手腕があれば、特定の人物に狙って買われることも可能だ。
どれほど稼げるかは相手次第だが、一夜の食事と寝床は得られる。そして、相手が独身ならば、自宅に連れ込まれる場合も多い。どんな寝床であれ、客は君に対し心身共に無防備となるだろう。
一方で、君の存在を好まぬ人物(客の恋人や配偶者は最たるものだ)から嫌悪や蔑視、時には敵意を受けるかもしれない。
●おすすめの人物像
娼婦は積極的に会話し、明るく享楽的に振る舞う。初対面の相手にも馴れ馴れしく触れ、思わせぶりなそぶり、ふしだらな仕草で性的魅力を振りまく。社会から愚かな尻軽と扱われがちだが、辛苦と過酷を十二分に経験しており、悲観や諦観を(特に客には)見せぬようにしている。心折れる者も多い中、しっかりと己を保ってきた娼婦はまさしく海千山千だ。歴戦の英雄にも比肩する、タフな精神力の持ち主だろう。
●人格的特徴(1D8)
1:金で愛を売っているのだから、愛する人に金を渡すのは当然だ。
2:己の不幸に酔いがちで、同情されるのが好きだ。
3:自信が持てず、己に体以外の価値があるとも思えない。
4:どんな相手でも、肉体関係を結んでいる時は恋人気分になってしまう。
5:惚れっぽくて、すぐ飽きる。常に恋をしていたい。
6:身内には無防備で、いつも長々と仕事の愚痴を聞かせてしまう。
7:一人で静かにしていられない。常にだれかと会話していたい。
8:たとえ虚勢でも、いつも斜に構えて不敵な笑みを浮かべている。
●尊ぶもの(1D6)
1:愛。一夜の関係ではない、本当の愛こそ真の宝だ。(善)
2:助け合い。今まで様々な人に助けられた。人は助け合わねばならない。(善)
3:金。いったい何のために体を売ったと思ってるんだ?(中立)
4:美。若く美しいからこそ、己に値打ちがあるのだ。(中立)
5:自由。娼館には戻らない。一人の恋人にも縛られたくない。(混沌)
6:快楽。いつの間にか売るより味わうことが目的になっていた。(混沌)
●関わり深いもの(1D6)
1:己を捨てた家族(恋人、友人)が許せない。必ず報復してやる。
2:子供がいる。信頼できる人間に預けており、親が誰かを知らない。いつか胸を張って親だと名乗りたい。
3:明日など知らない。今日この時さえ楽しければそれでいい。
4:一人だけ、本気になった客がいる。その人を今も探し続けているのだ。
5:かつての恋人に利用され、体を売り、その金も奪われた。絶対に許しはしない。
6:本当に愛せる人を探している。
●弱味(1D6)
1:自分自身が嫌い。時折、衝動的に自傷や自殺しようとする。
2:一人では眠れず、いつも寝床に誰かを連れ込んでしまう。
3:誰かの恋人、家庭ある人物ほど誘惑して溺れさせたくなる。
4:酒あればついつい飲んでしまう。酔っていないと、よく眠れない。
5:小金持ちや好みのタイプを見れば、誘惑せずにいられない。
6:他人を信用できない。(特定の性別でもよい)