これは性的なイメージを加味した背景である。
一般的なセッションへの適用は推奨しない。
GMはプレイヤーとの性的嗜好のすり合わせに従い、任意の背景を使用禁止としてよい。
■神殿娼婦
君は特定の神の神殿で、信徒らに祝福と慰めを与えてきた。君にとって性行為は聖なる儀式だ。昂った戦士を鎮め、疲れた貴族を癒し、貧しき人々を慰め、司祭の呪文発動を助ける。
神の加護を受けて超人的な肉体を獲得し、睡眠と食事以外の大半をこの儀式に捧げてきた。
おそらく神殿のある一帯では、ほぼすべての信徒や貧民が、君と肉体関係を結んでいるはずだ。君に初めてを捧げた者も十や二十ではあるまい。
神殿の中でも特異な地位にある君は、俗世に煩わされることなく快適な生活を与えられた。悪意や敵意を知らず、信徒たちから敬意と愛情と感謝を注がれるだけの生活。多くの神殿娼婦は、神殿から一歩も出ることなく老いと共に司祭となる。
だが、君は何らかの理由があって神殿を出た。想像したこともない広く混沌とした世界に踏み出したのだ。
注意! 神殿娼婦という呼称はわかりやすさを優先したものだ。男性の神殿娼婦も多数いる。
注意! GMは神殿娼婦がいる教団を限定してもいいし、すべての神殿に拡大してもよい。すべての神殿に拡大した場合、その世界では通常の「娼婦」の数や扱いもかなり変わるだろう。
技能習熟:〈性技〉〈房中術〉
言語:任意の言語2つ
装備:聖印(君が初めて性的儀式に参加した時に貰ったもの)、普通の服1着、神殿娼婦の衣装1着、ベルトポーチ(15gp入り)
●特徴:大いなる巫女
君は信仰する神の巫女として加護を得ている。
君は常に清潔で肌は瑞々しく、化粧や髪の手入れをほとんど必要としない。これはどれほど穢れようとも、大休憩のごとに浄化されて清潔さを取り戻すだろう。髭、月経、妊娠時のストレス、出産時の苦痛なども加護により軽減されるか失われる。
5レベルに達した神殿娼婦は一定年齢から老化しなくなる。ただし、その種族の平均寿命に達すると同時に、生きながら信仰する神の元へ姿を消す。セレスチャルに転化し、神の侍女や小姓として永遠に侍るのだ。悪の神や高位フィーンドならば、サキュバスやインキュバスに転化するだろう。
これらの効果は「神の寵愛」が失われるか、神殿娼婦を辞めた時、全て消失する。失われる条件は信仰する神によって異なるため、GMが判断すること。たとえば地母神の神殿娼婦が悪意を以て妊婦を殺害すれば、寵愛は失われるだろう。事故や勘違い、やむを得ぬ理由ならば、相応の懺悔によって許されるはずだ。基本的に神殿娼婦を抱える神はさほど厳格ではない。明らかな悪意や叛意がなければ、寵愛は失われまい。
君は同じ神を崇める信徒から常に歓迎され、危険がない限り積極的な協力を多々得られる。
教団施設、信徒の邸宅は君の滞在を喜んで迎え“快適”な生活を与えてくれるだろう。これは君だけの特権だが、入信者であり一時的に神殿娼婦として働くなら仲間も同じ待遇を得られる。
ただし、その一方で君は性的儀式、貧民や罪人への慰問活動を基本的に断れない。
また、聖職者や信徒と1日に最低1回は肉体関係を結ばねばならない。これは冒険や事件によって君の行動時間が極端に制限される時以外、日常となる。
●おすすめの人物像
神殿娼婦は魅力的で物怖じせず、貧民にも貴族にも分け隔てなく接する。媚びはなく、純粋な愛情に溢れている。世俗をほとんど知らないため、金銭感覚がずれており、警戒意識も低い。狡猾な悪人どもを引き寄せる一方で、親切な保護者も多数引きつけるだろう。
実のところ、神殿娼婦は性格面において、仕える神の影響をほとんど受けない。善良な神に仕える淫奔な神殿娼婦がいる一方、邪悪な神に仕える愛情に溢れた神殿娼婦もいる。信徒を慰め、癒すという点に特化した神殿娼婦は、神に近き位置にいながら神の性質に染まりにくいのだ。
これは属性においても同様である。神の属性は、神殿娼婦個人の属性とはほとんど関係がない。
●人格的特徴(1D8)
1:物心ついて以来、神殿で暮らしてきたため世俗に疎く、浮世離れしている。
2:神殿での儀式的な性行為しか知らず、未知の行為や快楽への好奇心が強い。
3:性的羞恥心が薄く、公的な場で肌を晒したり行為をすることに忌避感がない。
4:特定相手との恋愛が理解できず、憧れもしない。朴念仁。
5:財欲が薄く、得た財貨は可能な限り神殿に寄進するか、恵まれぬ人に分け与えようとする。
6:ありていに言って淫乱であり、相手さえいれば肉体関係を求めてしまう。
7:その時々で契る相手こそ恋人だ。すべての相手に心からの愛情を注ぐ。
8:抑圧や自慰は罪であり、こらえきれぬ欲望は性交で発散すべきだ。
●尊ぶもの(1D6)
1:奉仕。祝福と慰撫を求める人々に、可能な限りの快楽を与えたい。(善)
2:平和。激情や衝動は悪の芽だ。快楽と共に発散すれば、誰もが平穏に至るだろう。(善)
3:教団。その組織を支え、素晴らしい信仰を広めるべく、私はいる。(秩序)
4:性的魅力。誰かから性欲を向けられることは誇りであり、喜びだ。(中立)
5:快楽。神に仕えることが喜びならば、肉の快楽こそ神に仕える証に他ならない。(混沌)
6:神との一体感。性的絶頂の中、いつも己の内に神との同調を感じる。(神の属性)
●関わり深いもの(1D6)
1:神と教団にすべてを捧げている。与えられた使命は何としても達成せねばならない。
2:未だ信仰を知らぬ人々に、己の体を通じて信仰を広める義務がある。
3:いずれ神に侍る身となるべく己を磨き、高めばならない。
4:各地の神殿や聖地を巡り、その信仰や在り方を学びたい。問題があれば議論し、正す必要もあるだろう。
5:英雄やセレスチャルと交わり、その一助となりたい。
6:己はあまりに世界を知らない。神殿の外、本当の意味で世界と社会を知るべきだ。
●弱味(1D6)
1:貞操観念を理解できない。
2:神殿の上位者を盲信しており、言われるがままになってしまう。
3:人の言葉を安易に信じがちで、疑いを持てない。
4:一日に一度は性交をしないと、焦燥感に駆られる。
5:授かった聖印を自慰の道具として使い、背徳を感じている。
6:対立する神とその信徒を、過剰に敵視してしまう。