夏バテでダウンしてたら10日以上たってた!
6人目! 明白に賞金首!
■シスター・ベーゼ
オリジン:ヴァンパイア
アデプト:メイジ
「困窮、過酷、搾取。貴方は無力ゆえに奪われるのです。気まぐれな慈悲は何の救済ももたらさない。貴方が過酷を跳ねのける力を手にせねば、何も掴めないでしょう。貴方には力が必要なのです。さあ、私の手をとって、天を見上げて……貴方に必要なすべてをさしあげましょう。すべてはただ一度のくちづけで、もたらされるのです」
悪名高き“紅きくちづけ”修道会の代表修道女。
宵闇区や路地裏などに現れ、受難の中にある人間……ひらたく言えば貧乏人や怪我人に声をかけて回る。
物腰はやわらかく、慈愛に満ちた表情で困窮する者に近づき、彼女なりの救済を与える。
吸血鬼に変えるのだ。
この“救済活動”は覚悟なき新生者(ニューボーン)を無数に生み出している。しかも、シスター・ベーゼは己の眷属に干渉せず、したいようにさせている。新たな力を得た彼らの大半は、抑圧と衝動のままに暴れ回る。彼女の活動は、堕天特区全体の治安を乱すのだ。
ゆえに退魔師は無論のこと、吸血鬼コミュニティからも彼女の首には多額の賞金がかけられている。
堕天特区では、過去に多くの無差別感染吸血鬼が賞金首となり、狩られてきた。
だが、シスター・ベーゼは賞金首になりながら、相当の長期間を活動し続けている。本来ならとうに始末されていなければおかしい存在なのだ。
ベテランのハンターたちは、彼女が特異な力や戦闘力を持つのだと囁いている。
暴れまわるニューボーンたちから、彼女が未だ活動し続けていること間違いないのだが……ハンターが彼女に遭遇した記録すらわずかしかない。
今や彼女にかけられた賞金は500クレジット。
目撃情報だけでも、相当な高額で取引されている。
●“紅きくちづけ”修道会
シスター・ベーゼはかつて欧州のエルダーブラッドであり、堕天特区の魔物を狩るべく訪れた退魔師だった。
だが、魔物ではなく宵闇区の略奪団に襲われて激しい抵抗の末に死亡。路地裏に打ち捨てられた彼女の死体は、偶然にも吸血鬼となって蘇生してしまった。
目を覚ました彼女は、これを神聖なる奇跡と考え……熱心な信仰心そのままに血の伝道者と化したのだ。
“紅きくちづけ”修道会は、シスター・ベーゼの吸血から生まれたニューボーンらの総称だ。
特に組織立っているわけでも、そう自称しているわけでもない。彼らは主についてほとんど何も知らず、従属意識すら持っていない。
何の命令も受けていないのだ。
単に彼女がそう呼んでいたから、そう呼ばれ続けているだけで……修道士の衣装をまとう者すら稀だ。
「振るわぬ力に何の意味があるでしょう。分け与えぬ力に何の意味があるでしょう。弱者にこそ救済を。いつか世界が私と血を分けた人々で満たされる日にこそ、真の平和が訪れるのです。けれど貴方のように十分な力を持つ方は、その素晴らしさを理解できないのでしょうね……」
●吸血鬼の感染
通常、吸血鬼の感染は“血の主”に相応の消耗をもたらす。しかも、生み出した眷属は完全に隷属するわけではない。ゆえに強大な吸血鬼ほど、軽はずみに己の眷属を作ったりしない。慎重に人選し、教育し、相当な能力と忠誠心の持ち主をこそ、眷属とする。
一方でシスター・ベーゼは、他者を吸血鬼化する能力に特化している。多くの吸血鬼と違い、彼女はほとんど消耗なく人間を同族に変えてしまう。
しかも、彼女は“布教活動”にすこぶる熱心である。
街角の浮浪者や最下層の娼婦、チンピラ、孤児などの弱者を率先して吸血鬼に変えるのだ。
●神出鬼没の賞金首
シスター・ベーゼが長年にわたり捕まらぬ最大の理由は、彼女が真に弱者の味方だからだ。
つまり、彼女は敵が現れても戦わず逃げ、クレジットを持ち歩かず、娯楽や快楽にも自らはよりつかない。
財欲も権力欲もなく、セックスにも興味が薄いのだ。
吸血鬼となってからは食事もほぼしていない。
それゆえ堕天特区で一般的な場所にはまるで姿を見せておらず、本当にどうしようもない人々の集まる場所でしか彼女を見かけられない。
自らの破滅が救済を遅らせるとは重々承知しており、リスクのある場所にも近づかない。奴隷市場で売られる奴隷に同情はしても、自ら逃げ出した逃走奴隷ならともかく奴隷市場で大立ち回りなどはしないのだ。
ゆえに、行動範囲も活動方針も、一般的な賞金首とは大きく異なる。
しかも、彼女は退魔師として活動してきた経験から、一定以上の実力者の気配を素早く察知できる。その能力は吸血鬼化によって研ぎ澄まされ、まさに神業と呼べる域だ。
戦うにしても、一方的に勝てる相手しか相手取らず、倒したなら吸血鬼に変えてしまう。
入り組んだ路地裏や宵闇区において、彼女の察知能力は最大限の効果を発揮する。一時的に体を霧やコウモリに変えもできるため、その逃走能力も高い。
●セッションでの活用
・ヴァンパイアのPCの“血の主”にする。彼女は放任主義で特に命令しないし、リスクのない範囲なら協力もしてくれる。少なくとも人脈NPCにはなる。
・暴れていたニューボーンを倒すと、特異な共感能力の持ち主だとわかる。血を吸った相手の居場所、己の“血の主”の居場所がわかるのだとか。話を聞くに、その主とはシスター・ベーゼのことらしい。高額賞金首の彼女を捕らえるチャンスだ。
・あるハンターがシスター・ベーゼを追い詰め、一定の区画に閉じ込めたという。彼女を狩って賞金を山分けにすべく、知り合いのハンターが召集される。
・欧州からシスター・ベーゼの妹(既に姉より外見年齢は年上になっている)が姉を討伐すべく、訪れる。姉をおびき寄せ、ハンターの協力を得て倒さんとしている。
・PCの知人がシスター・ベーゼによって吸血鬼となり、力に酔って暴走する。この知人をどうするにせよ、PCがシスターの存在を知る一歩とはなるだろう。
●シスター・ベーゼのデータ
属性:妖
レベル:4
プライド:12
武器
交渉術(ゼロ~ショート/「魅了」2/武装解除無効)
紅きくちづけ(ゼロ/「屈服」2/武装解除無効、ダメージを与えるごとにあなたのプライドは2点上昇する、この武器でプライドが0点になった1レベル以下のキャラクターは「ニューボーン(基P194)」となる)
パワー
《超戦闘感覚》(ギフト)ロングレンジ内にいるレベル3以上の存在すべてを常に知覚し、隠密状態を無効化する。
《吸血鬼の変身》(ギフト)あなたは肉体を霧やコウモリに変え、戦闘から退場して安全な場所に移動してよい。この効果は次の18時が訪れるまで使用できない。
注意)武器「紅きくちづけ」はPCや2レベル以上の敵のプライドを0にした場合は属性を「妖」に変え、オリジンをヴァンパイアに変更させる。ただし、シスター・ベーゼは強者に対してこの能力を積極的には使わない。