5人目! 脅迫屋!

 

■キャットフード

 

オリジン:チェンジリング
アデプト:フィクサー

 

「おっ、死にたてホヤホヤの気配じゃーん。面倒ごとならカネになるなァ。ちょーっと護衛してよ。うまくいったら分け前やるし、いかなくても一晩くらい相手してやるからさァ。シロウトの現行犯がいりゃ、混乱してるうちに脅すのがイチバンなんだぜェ。記念写真も撮ってやれるしなァ、キヒヒヒッ!」

 

 

 死体を持ち去る日本の妖怪“火車”と契約し、融合したチェンジリング。
 ハンターとしても活動しているが、裏社会の情報屋兼脅迫屋として名高い。
 フィクサーとは思えぬ剣呑な人当たりは、そんな稼業ゆえだ。彼女の抱える人脈も、大半は脅迫の産物で……残りは死体処理関連のつながりである。

 

 キャットフードは契約した妖精から死体を感知する力を獲得している。
 これによって見つけ出す死体が、彼女の収入源。
 いわくありげな死体を見つけては、その関係者に話を持ち掛け……クレジットを脅し取るのだ。
 あるいは敵討ちを望む遺族を、他のハンターに仲介させて仲介料をいただく時もある。
 死体の位置がわかれば、賞金首の潜伏先がわかる時もある。その情報も、他のハンターに高く売れるだろう。
 もっと運がいい時は……ハンターによって瀕死の重傷を負いながら逃げ、こときれた賞金首も見つかる。当然、その賞金は死体を見つけた彼女のモノだ。
 そんな死体によるビジネス全般が、彼女の本業なのだ。
 ハゲタカとか死体漁りとか呼ばれるのも当然だろう。

 

 当然ながら、彼女の評判はよろしくない。
 縁起が悪いし、つきまとわれれば獲物を横から奪われるかもしれない。何より弱みを握られたりしたら最悪だ。ずるずるとクレジットを脅し取られるだろう。
 キャットフードは脅す相手と、要求する金額について確かな勘を持っている。それなりに戦える持つハンターに要求する金額はせいぜい数クレジット。
 払った方がラクだなと思える金額に抑えておく。
 その上で長く搾り続けたり、仕事に協力させたりする。相手次第では最初は脅迫もせず、もっと致命的な弱みを得るまで待ち続けるだろう。

 


●死人探し屋(デッドサーチャー)
 キャットフードが感知できるのは、単なる死体ばかりではない。より広い意味での死体も含まれる。
 つまり動き出したゾンビ、一度は死を経た存在である吸血鬼、そして死体そのものを暗示する妖精や神。
 こうした存在を相手取るとき、彼女の能力は有効だ。
 奇襲や待ち伏せを無効化し、監禁や封印の場所も特定できる。このため、死者と吸血鬼の関連組織は、彼女と相応の関係を結んでいる。
 中でも男爵の宿(GameBox1)や黒棺館(カミP96)などは彼女にとって重要な得意先だ。今もバロネス・クロアやクローデッドとは良好な関係を築いている。
 キャットフードは依頼人を選ばない人物だが、彼女自身がチェンジリングのため、対魔団(カミP50)等と手を結ぶことはありえない。

 


「まー、人殺しなんざ、たいしたこっちゃない。うん、アンタが罪人なんて思っちゃいないよ。でもさァ、アンタ企業勤めだろォ? 酔った勢いで同僚殺して、職場でやってけるのォ? コイツを行方不明にしてやった方がラクじゃない? アタシの伝手で、ごろつきに殺されたってシナリオにもできるしさァ。ま、どう処理するはカネ次第。アンタ、家族もここに住んでるんだろ……そっちに相談してみよっかァ? どうする? ねェ、早く決めないと巡回警備が来ちゃうよォ?」

 


●脅迫屋
 キャットフードの名は彼女が愛用する猫耳フード付きコートに由来し、本来は“猫かぶり”の意味だ。
 もっとも、下品な言動と悪辣な仕事ぶりには、もはやかぶる猫も何もない。そんな由来を想像する者もいまい。今では“残飯漁り”の意を込めて“野良猫の餌”程度の意味で呼ばれている。

 

 かつて、彼女はゾンビ退治と吸血鬼関連事件を専門とするハンターだった。ゾンビの発生を食い止め、不良吸血鬼退治、吸血鬼救出などを請け負っていた。
 そして善良な彼女は、身元のわかる死体ならば遺族に届けるようにしていた。
 だが、そんな中でしばしば遺族が死体処理を依頼し、また口止め料を勝手に支払ってくる事案が発生する。
 その金額は、ゾンビを倒すより遥かに高く。
 やがて彼女は、危険な死者との戦闘よりも……死体を用いた脅迫を収入の中心とし始めた。
 今も護身用にハンドガンを持っているが、もはや彼女に自ら戦場に立つ意志はない。

 


●火車の相
 脅迫の際、キャットフードは契約した“火車”に由来する地獄の業火を身にまとう。
 業火は相対する者たちの魂をかき乱す。
 常人なら即座に心が折れ、恐怖と混乱の中で逃げることも忘れて言いなりになってしまうだろう。

 

 なお、彼女のフードは猫耳を模してあり、コートには二本のコード状のアクセサリが尾のように付いていることも多い。

 だが、フードの中には実際に猫耳があり、コートの中にも猫の尻尾が二本ある。
 いずれも黒い猫のもので、キャットフード自身はこの愛らしい部分を今の己には似つかわしくないものと考えているようだ。常に隠し、情事の際にもフードとコートは外さず、猫の常としてシャワーや風呂をいやがる。
 実際に見られると、裸を見られるより遥かに羞恥に身悶えすることになる。
 今のところ、彼女と必要以上に接する者が少ないため、この秘密は知られていない。

 


●セッションでの活用
・PCが依頼中に予期せぬ死者を出した時、キャットフードが現れて脅迫をしてくる。

 

・ゾンビ退治、吸血鬼退治、殺人事件の解決などで、キャットフードは普通に有能な味方となりうる。重要な情報提供役としてもいい。

 

・行方不明者探しの依頼を受けたが、対象は既に死亡している。死体を処理したのはキャットフードで、犯人は彼女と(脅迫されてか)取引したのだ。

 

・キャットフードが見つけた賞金首の居場所を教える代わりに、賞金を分け合うよう持ちかけてくる。賞金首を手負いにして逃がすと、彼女が仕留めて賞金を総取りしてしまう。

 

・キャットフードに脅迫されている人物が、PCに彼女の暗殺、または弱みを握るよう依頼してくる。

 

・キャットフードから依頼が出る。彼女の耳と尻尾が盗撮され、ネット上でばらまくと脅されているのだ! 脅迫者の始末ないし説得が目的となる。

 

 

●キャットフードの戦闘データ

 

属性:
レベル:4
プライド:10

 

武器
ハンドガン(ゼロ~ショート/「気絶」2)
威圧の業火(ゼロ~ショート/「屈服」2/制圧、武装解除無効、ダメージを与えた対象に「移動不能状態」と「BS:混乱1」さらにダメージと同値の「BS:恐怖」を与える)

 

パワー
《死体感知》(ギフト)ゼロ~ミドルレンジ内の死体、ゾンビ、ヴァンパイア、その他死体に由来する神や妖精の居場所とレベルを知る。それらによる奇襲を受けない。死体のみであり、死霊や霊魂は感知できない。
《コンプレックス》(ギフト)フードやコートを剥がされて耳か尻尾が明らかになるごと、あなたは「BS:羞恥3」を得る。

 


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