「待って欲しい。ボクにキミと敵対する意志はないんだ」
言葉の交わせる相手は貴重だ。
敵かもしれないが、今は会話を楽しんでおきたい。
「……では、ここへどんな用で来ましたの?」
彼女はゾンビを壁にして、
後ろから緊張した様子で話しかけてくる。
少なくとも会話は可能らしい。
チラチラと見える身長はボクより少し高いかな?
黒い髪に白いリボン……人形みたいな着飾り方だ。
みすぼらしいと言った方がいい服装の身には羨ましいね。
「こんな服装だから略奪か何かと思うかもしれないけど。
ボクにはアンデッドの相方がいてね。
彼女の体を修復するため、人体パーツを分けて欲しいんだよ」
「それだけですの? どのくらい必要でして?」
「一人分で十分なんだ! 頼めないかな?」
「……では、銃を捨ててここまで歩いて来てくださいまし。
貴方が私を信じてくれるなら、私も貴方を信じますわ」
難しいことを言ってくれる!
正直、銃を手放したらボクには戦闘力なんてなきに等しいのに。
ここは……。
言われた通り銃を手放してゾンビの間を歩いて行こう。