3人目、特殊性癖持ちサキュバス。

 

■ラストワード

 

オリジン:サキュバス
アデプト:ウイッチ

 

「アハハ、ゴメンねぇ。こー見えてお姉さんは忙しいんだよ。お手軽な相手にはなったげられないなぁ。ところで、キミはそろそろワンステップ上の依頼を受けてみたりしないのかい?」

 

 

 ラストワードはそれなりに古参のハンターで、各地のハンターショップにもよく出入りしている。
 しかし、見るからに胡散臭く、陰鬱な空気をまとった彼女に心を許すハンターはまずいない。いたとしても、彼女の噂を聞けばそっと離れていくだろう。
 遺言(ラストワード)とは周囲に付けられた二つ名。彼女との会話が遺言となるハンターが、あまりに多くいたがゆえに。“死神”や“味方殺し”とすら呼ばれる時もあるのだ。
 どの店でも、声をかけようとする新米ハンターには、先輩格からそっと警告が囁かれるだろう。
 もっとも、彼女はそんな風評を気にする気配もない。

 ただ夜毎にあちらこちらの店を巡っては店内の仕事依頼やハンターを品定めするように眺めている。

 

 奇妙なことに、彼女はサキュバスでありながらベッドの相手を探そうともしない。声をかけられてすら、面倒そうに断るばかりだ。
 仕事についても不特定多数を対象とした仕事へ消極的な参加をする程度。ハンターショップにとっては、半ばひやかしのような客だが……時にふらりと報酬も内容も気にせず、困難な依頼を解決する時もある。
 実力は間違いなくあるため、ショップにとってみればなんとも扱いづらい人物なのだ。
 そして、遠巻きに彼女を眺めるばかりの同業者には、なおのこと奇妙で不吉な存在と映るだろう。

 


●亡霊の契約者
 ラストワードがウイッチとは一見してわかるし、正面から問いただしても堂々と認める。
 だが、彼女はマギタクト等を持っていないし……如何なる妖精と契約したか知る者もわずかだ。
 実のところ、彼女が契約しているのは無数のゴーストである。それも戦闘で命を落とした賞金首やハンターといった連中のゴースト。
 これらは姿を消して常に彼女の周囲を取り巻き、陰鬱で冷たい威圧感を生み出している。そして有事とあらば、半実体化して彼女を守るのだ。

 

 ラストワードは契約によって、亡霊たちが戦闘以外に触れられる対象を己に限定した。
 亡霊の欲望は、彼女に対してのみ注がれる。
 彼女のプライベートな時間は、亡霊による絶え間ない輪姦だ。戦闘とセックスしかできない亡霊に、すべてを捧げさせる淫宴こそ、彼女の“食事”である。

 


「やぁ、また会ったね。トドメが必要かい? それとも私に助けてほしいかい? 私のものになってくれるなら、ずっと一緒にいてあげるよ。私といつでも好きなだけシていいんだ。うん、そうかい。嬉しいね。頷いてくれたねぇ。アッハハハ! 契約成立だ! お姉さんは欲張りでさぁ。キミの全てをもらわなきゃ満足できないんだよ。それに一人相手じゃもの足りなくてねぇ! さぁ、今日はキミの歓迎パーティーだ! みんなで楽しもう!」


●亡霊採取
 ラストワードは、かつて名もなき場末娼婦だった。
 だが、ある日に瀕死のハンターを匿い、死にゆく最後の精気を吸い搾った後……未だ欲望と執着で死に切れぬ魂はゴーストと化して彼女の前に現れた。
 そして、亡霊は最初の契約相手となり……彼女自身もハンターとして活動を始めた。
 彼女の目的はクレジットではない。
 さらなる契約相手……死者の霊魂だ。
 瀕死の賞金首やハンターを見つけるのは難しくない。
 最低限の証拠品や戦利品だけ奪われ、死にゆく者など堕天特区にはいくらでもいるのだ。

 

 ハンターショップを巡るのも、このため。
 奇妙な依頼の受け方も、このため。
 無謀なハンター、確実に死ぬ賞金首などを見つけて、その去り行く魂と契約するためだ。
 そして彼女の軍団はなお勢力を増す。

 


●死者のネットワーク
 今やラストワードが契約した亡霊は膨大な数に至る。
 不吉なオーラには霊感のない者でも寒気を感じえず、彼女をより近づき難い存在に変えた。陽気な妖精や神、常識的なメイジやウイッチならなおのこと、彼女を避けようとするだろう。
 一方で冥府や亡霊に関する妖精や神にとってみれば、彼女は“歩く冥府”“生きた墓地”そのもの。
 現世に留まる亡霊を許容する神々や妖精なら、彼女の支援者となる可能性も高い。パトロンとして資金提供を行いすらする。
 亡霊の力を振るうラストワードが、強力な力と知名度を得るほどに……彼らの権能も高まるのだから。

 


●セッションでの活用
・PCの大切な人は既に命を落とし、ラストワードの元に契約で留められている。彼女の依頼を聞けば、その魂をPCの武器に宿らせてくれるという。
(カチP7【ウエポンスピリット】相当)

 

・PCの依頼達成には、ある情報が必要不可欠だ。だが、情報を持つ者は既に死んでいる。しかし、その者の死ぬ間際にラストワードが何か言葉を交わしていたという。

 

・契約した亡霊の相手をしきれなくなったラストワードは、己のようなウイッチを増やそうとする。力に飢えた者に亡霊を分け与えるのだ。中には暴走して犯罪行為や復讐に酔う者も現れる。

 

・己の信徒の霊魂を奪われたと気づいた神やアポストルが、“魂の盗人”を探して倒すよう依頼する。あるいは現世を迷う霊魂を許さぬ教団やエルダーブラッドが、ラストワードに賞金をかける。

 

・輪姦を好むPCはラストワードを人脈にすれば、半実体化した無数の亡霊による輪姦をいつでも楽しめる。当然ながらラストワード自身も並べられてだが。

 


●ラストワードの戦闘データ

 

属性:妖/モブ
レベル:5
プライド:12

 

武器
亡霊の群れ(ゼロ~ショート/「気絶」3/制圧、武装解除無効、対人ダメージ+2)

 

パワー
《守護霊》(ギフト)あなたは戦闘開始時に「バリア」1点と「アドバンテージ」2点を獲得する。さらに、戦闘中に敵が発生させたGBをすべて無効化する。
《亡霊の包囲》(スペル)ゼロ~ロングレンジの対象1体に「移動不能状態」と「BS:混乱2」を与える。

 


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