本記事は世界的に有名な第五版RPGにて、性的セッションを行うための記事である。
 通常のルールやデータでも、演出次第でこうしたセッションは可能だろう。また思わぬ展開から通常のセッションがそうした内容に及ぶ場合もあるあろう。

 しかし、意図して性的な展開や状況、人間関係を軸としたセッションを行うならば、この記事に書かれた点に注意してほしい。

 実際に性的セッションに向けたルールやデータは別記事を参照すること。

 なお「性的セッションの心得」と「コンセンサス」の記事は拙作『触手教典儀』『Ventangle』における記載とほぼ同じである。これらを精読くださった方は、読まなくてもかまわない。



■性的セッションの形式

 性的セッションとは、文字通り性的描写や性的イベントを前提としたセッション方式である。
 これは他のセッションと根本的に異なる点が5つある。

 

●場所について
 オンラインでのセッションを推奨する。

 可能なら音声でのやりとりもするべきではない。(効果音やBGMはかまわないが)
 これはロールプレイ(以後RP)に没入し、照れたり醒めたりしないためだ。またRPが現実の人間関係に、思わぬ影響を与えぬための措置でもある。

 オンラインで行う場合、そのツールやサイトの規約を守ること。性的な発言が禁止された場所で、このようなセッションを行ってはならない。

 

●人数について
 性的セッションは基本的にプレイヤー1人が好ましい。
 なるべく1人、最大で3人を目安にした方がいいだろう。
 これは全員のコンセンサス(後述)を容易にするための処置である。
 3人以上で行う場合、1人のPCに都合のいい構成としないこと。たとえばハーレムを求めるプレイヤーは多いだろうが、ハーレムの構成員になりがたるプレイヤーは少ない。全員が全員と関係を持てるようにするか、おおよその形であれカップルとしての組み合わせを確定させた方が問題は少ないだろう。GMのNPCがその中に含まれれば、セッションのテンポもよくできるはずだ。

 

●事前通告について
 GMはシナリオで「想定する性的対象の傾向」を予め伝えること。
 これは敵のデータを示せと言う意味ではない。
 相手の性別、外見年齢、外見特徴などをある程度示すということだ。
 問題がありそうなら、データはそのままでいいので外見について互いに妥協できるものに変えた方がいいだろう。同じことをする場合でも、オークか山賊(人間)かカルト教団員(人間)かで随分と違うはずだ。

 

●PCの属性と行動について
 参加者全員が合意していれば、PCの属性は「悪」でもよい。
 特にPCが1人ならば、GMが反対しない限りまったく問題はないのだ。
 コンセンサスに反しない限り、PCは犯罪行為や残虐行為、その他の邪悪な選択をしてもかまわない。GMはその報いを与えてもいいし、与えなくてもかまわない。

 

●性質や外見の変更
 参加者のコンセンサスに合わせて、GMもPLも種族やモンスターの外見や習性、能力をいくらでも性的にアレンジしてかまわない。
 ドワーフを幼い容貌としてもいいし、すべてのドラゴンやフィーンドやセレスチャルが人型に変身できてもいい。特定の種族には特定の性別しかいないことにしてもいい。ほぼあらゆる種族が異種族間で子を為せることにしてもいい。特定のモンスターにおいて、美しく魅力的な人型要素を強めてもいい。
 特にGMは致命的な矛盾が生じるのでなければ、これらのアイデアをいつでも思い付いた時にセッションに適用してかまわない。プレイヤーもGMの許可を得た上でなら、自身のPCについてのアイデアを適用してよい。

 

 


■性的セッションの心得

 あなたが既に性的セッションを前提としたTRPGシステムで遊んでいるなら、特に言うことはない。
 性的セッションの経験がなく、好奇心から本作に触れたなら、まずは通常セッションのつもりでプレイし、いくらかの濡れ場を挟んでいこう。そこに物足りなさを感じたなら、あなたは性的セッションの素養がある。
 大いに深みに踏み出してほしい。
 とはいえ、性的セッションは無法の遊戯にあらず。
 以下に、重要な注意点を列挙しておこう。

 

●大人の遊び
 性的セッションを楽しむ人物は、精神的に十分成長していなければならない。
 キャラクターの話ではない。GMとプレイヤーの話である。
 好奇心から気まぐれに手出しすべきでない。
 性的セッションで遊びたいという、明確な意志と目標がなければ、楽しみを保証しかねる。どうしてもというなら、短時間のエロなり茶などを経験した上で、切り口を変えた楽しみとして挑んだ方がいい。
 あなたが日頃オンラインでTRPGを遊んでいるだけなら、軽いシモの笑いとして触れるに留めるべきだろう。

 

●性的ロールプレイは性行為ではない
 RPがどれほど性的でも、それは性行為ではない。
 バーチャルセックス的な位置づけにしてはならない。
 性的セッションは、出会いの場ではない。
 参加者とキャラクターは完全に切り離し、セッションの演出として楽しもう。
 キャラクターの関係や行為が、GMやプレイヤーの人間関係に持ち込まれてはならない。
 相手のプレイヤー(またはGM)が己の性的対象でなければ、エロールが成立しないと感じるなら、あなたは根本的に性的セッションに向かないのだ。
 このような遊びをせず、現実の恋愛や性生活を充実させるべく、然るべき努力と行動をした方がよほど健全で、あなた自身のためになるだろう。
 TRPGに現実の人間関係を持ち込んだり、トラブルを発生させたりしてはならない。
 これはマナー違反以前の行為であり、性的セッションに限った話ではない。

 

●ファンタジー性
 性的セッションにおいてキャラクターは、基本的にファンタジー(幻想)の存在だ。どれほど現実的な設定を持っていても、現実の人間ではない。
 さらには舞台となる世界も大きく違う。
 非実在以前に、身体構造も常識も異なる。
 根本的に人間でない存在ですら、ありうる。
 彼ら、彼女らは非現実的な存在であり、参加者全員が望まぬ限り、現実の法則を無理に適用すべきでない。
 よって、参加者全員が共通認識として、地に足ついた性描写を好むのでない限り、性描写には多かれ少なかれファンタジーが介在する。過剰な描写や、現代医学ではありえぬ現象も起きるだろう。基本的に、参加者は互いのRPを寛大に受け容れるべきだ。
 性知識と性的ファンタジーは別だと、理解しよう。
 特定の描写傾向を“正しい”として啓蒙するのは大きな間違いだ。相手の性描写が好みでない……という場合には、コンセンサス(後述)の領域となる。話し合って着地点を決めてほしい。
 もちろん、個人の性的トラウマや譲れぬ一線はコンセンサスできちんと共有しておこう。

 冷静に考えてみてほしい。
 現実において、性的刺激で子宮が降りてきたり、子宮口をごりごりしたり、精液で腹がふくらんだり、ありえない射精量を連射したり、処女でもよがったり、絶頂は必ず同時だったり、中高年が毎日二桁射精したり、整腸も潤滑液もなしで即アナルセックスしたり、乳腺や尿道に挿入できたり、どれだけ拡げても裂傷しなかったり、連続行為でも擦り切れなかったり、股関節が脱臼しなかったり、媚薬に何の副作用もなかったり、子宮や直腸が飛び出しても平気だったり、出産が快楽だったり、生理が存在しなかったりする……わけがないだろう!!
 これらは、ある種の“様式美”であり、ファンタジーとして楽しむべきものだ。
 よく自覚しつつ、また貶めもせず、性的娯楽と自覚して楽しんでほしい。フィクションとしての性的認識を、現実に持ち出してはならない。

 

●相手を楽しませる
 性的ロールプレイには相手が存在する。一人で行うにせよ、見ている人物がいる。
 一人で行うなら、ネット小説でも書いた方がいい。
 相手の望む行動や描写を察し、演じるよう心がけよう。
 もちろん、いきなり相手の好みを悟ったり、些細な文章や行間から意図を読み取ったりなど、できはすまい。
 コンセンサスが重要だ。
 相手の好みを把握し、自身の好みを把握させよう。
 互いの望む反応や攻め、シチュエーションを念頭に置いてRPを進めるのだ。もちろん、自身の望みを押し出す機会も、逃さぬようにした方がいい。
 相手が好みを外れ始めたら、正直に言おう。
 そうしてやり取りを積み重ねれば、互いの傾向もある程度読めてくる。また、己自身の知らざる性的嗜好が、新たに発見されるかもしれない。

 性的描写は、最も個人的嗜好の分かれる描写だ。
 ある人にとって素晴らしいと思える描写が、別の人には嫌悪感しか抱かせないという例は多々ある。
 細かな嗜好の機微は、どれほど言葉を重ねても説明しきれまい。事前のコンセンサスをしても、性的価値観のすれ違いは発生しうる。
 シチュエーションに問題なくとも、特定に言葉がダメだったり、ごく些細な(と一方は感じる)行為がダメだったりもする。
 第三者には理解しきれない、とても繊細な問題だ。
 当人すら境界がわからない時もある。
 そんな場合には、逐一避けてほしい点を言うか、問題となる場面を素早く終えてしまった方がいい。
 これは参加プレイヤー人数を少なくするほど、調整はしやすい。
 後述の『コンセンサス』も参照せよ。

 問題点ばかり提示してしまったが、RPはクリエイティブな楽しみだ。
 性的なRPならば、参加者にいつもとは異なる感動を与えてくれる。
 自身の表現範囲を挑戦的に広げ、他者の描写からも(参加者自身が)インスピレーションを得よう。次によりよいRPができるよう、より相手を楽しませられるように。冷静に分析し、己を磨きつつ楽しもう。
 相手の描写や反応をよく読み、相手の望みを常に考えよう。そして同時に、相手にも楽しませてもらえるよう、自身の好みをきちんと言葉にしよう。
 配慮を続ければ、人を気遣う能力も高まる。

 単純に読みやすく、わかりやすい文章とする努力も大切だ。心がけておけば、文章力の上達にもつながる。
 オンラインでの性的RPは、確かな読者が目の前にいる、実に充実したクリエイター活動だ。
 デリケートなジャンルだけに、配慮されたRPはプロの領域に至る。互いにプロ水準の描写をぶつけ合えれば、これほど贅沢な遊びはない。
 一方的に奉仕するのでなく、互いに文章力や描写力を切磋琢磨するためにも、相手を楽しませよう。

 

●表現の発展
 性的RPを続けていると、シチュエーションや表現の幅が広がらず、飽きてしまう場合がある。
 同じ相手と、安定した嗜好で、同じようなプレイばかりしていれば、なおさらマンネリ感を抱くだろう。
 これを避けるには、常に自ら新しい表現を考え、新しいジャンルへと踏み出す開拓精神が必要になる。
 嫌悪感を感じたり、まったく理解できないジャンルは避けるべきだが、“主な好みから少しずれる”程度のジャンルには少し擦り寄ってみよう。新たな性的嗜好を獲得すれば、自ずとプレイの幅も広がる。
 また、喘ぎ声や擬音、比喩表現、流れがワンパターンにならないよう注意しよう。毎回変える必要はないが、描写を少しずつ変えるよう心がけた方がいい。
 セッションログを時折、ざっとでも読み返し、自身や他の参加者の描写を客観的に眺めるのも効果的だ。
 センスや語彙力は、才能ではない。
 努力によって磨かれ成長する。
 漫画、小説、ゲーム等でフィクション性の強い性的コンテンツに触れ、様々なプレイや描写方法を取り込んでいこう。性的表現に限らずとも、様々なコンテンツに意識して触れていれば、先駆者が残してくれた多様な描写を身に着けられるはずだ。
 最初は模倣でかまわない。
 模倣を重ねる中で、オリジナルの描写が生まれ、己の世界が拓けるだろう。そうなった時、あなたは(少なくとも性描写では)立派な一作家となるのだ。

 

●駆け引き
 相手のいる性的RPは、駆け引きの連続だ。
 RPに馴れ、互いを理解し合い楽しめれば、次は相手を己の領域に染めてゆく楽しみがある。
 人は変わりゆく生き物だ。
 相手の推奨範囲から少し外れた、しかし容認範囲内の行為へと引き込み。実際に相手が同好の士となるよう、勧めてみよう。
 直接「○○を好きになって欲しい」と訴えるべきではない。また、拒否されたなら、踏み込んではいけない。
 自身の価値観を押し付けてはならないのだ。
 相手の視野を広げ、己の色に“染める”のだ。
 あくまで描写の中で、じわじわと。相手が自ら望むよう丁寧に気遣い、受け入れさせていこう。
 うまく受け入れてくれても、その趣向一色にすべきではない。まだ、相手の許容範囲内に含まれたのみ。
 望まれ、せがまれたのでなければ、パターン化させるべきではない。
 駆け引きは人間関係であり、双方向。
 己が相手に変えられる場合もあるだろう。
 変わってゆく己と相手、両方を楽しんでほしい。
 そういった、普通の恋愛や口説きに近いゲーム的側面も性的RPの楽しみだ。もちろん、現実の人間関係には持ち込まないよう気をつけて。
 磨かれているのは、あなたの対人能力と描写技術だ。相手との人間関係を深めているわけではない。

 


■コンセンサス
 セッション前に参加者が“認識の擦り合わせ”を行うことを、コンセンサスと呼ぶ。
 通常のセッションでも、サプリメントルールやハウスルールの適用、グロテスク描写の度合、科学知識の持ち込み等について、行うべきものだ。
 そして、性的セッションでは、性的嗜好のすり合わせこそ重要なコンセンサスとなる。互いの性的嗜好をしっかりと認識せずして、セッションの成功はない。
 性的セッションでは、いかに煽情的、猥雑、また残虐な行為であろうとも、参加者全員が望むなら――すなわちコンセンサスに基づいているなら、許される。
 逆に、どれほど一般的で合法的でも、コンセンサスに反すれば、発生自体が許されない。展開上やむをえない場合も詳細描写せず、さらりと終わらせよう。
 コンセンサスこそ、シナリオ、ルール、世界観、さらにGM権限より優先すべき“ゴールデンルール”だ。

 

●NGの宣言
 コンセンサスで最も重視すべきは、参加者各自の決して受け入れられない性的ジャンルや行為の宣言だ。
 よって参加者各自の性的なNG(No Good)――“してほしくないこと”を事前に表明しておこう。
 シナリオ作成やハンター作成より先に行っておくべきだろう。たとえばPLが「女性相手NG」ならば、女性NPCを登場させるシナリオは全て不可ということだ!
 何より、場合によってはGMとPLの嗜好が決定的にズレており、セッション自体が困難な場合もありうる。
 そんな場合、無理にセッションをすべきではない。
 よって、性的セッションに、NG宣言は必須だ。
 恥ずかしくとも、避けてはならない。
 また「何がいいか理解できない」嗜好についても、ある程度言及した方がいい。格式ばった宣言とせず、嗜好についての雑談程度に語り合っておくといいだろう。

 NGは人それぞれ、さまざまだ。
 あなたが、さしたるNGを持たないなら、他者のNGについて「ありえない」と思うかもしれない。
 だが、思わぬNGを持つ人は多い。
 あなたにとって信じられないNGもありうるだろう。
 多くの人間が「己の嫌なことを人にすべきでない」と理解している。だが、「己の好みに、他者が嫌悪を抱くかもしれない」とは、なかなか理解できない。たとえ、言葉でわかっていても、目の前の人間がそうかもしれないと想定しながら動くのは難しい。
 だからこそ、はっきりと言葉にして宣言し、互いに認め、尊重し合う必要があるのだ。
 相手のNGが思わぬものだとしても、その嗜好を貶めたり、理由を詮索すべきではない。性的嗜好は個人の様々な事情や過去が絡む場合もある。さらには特に理由のない単なる好みで、当人も説明できない場合も多い。
 そして、一見万人が好みそうな嗜好でも、NGとする人は必ずいる。こと性的嗜好においては、万人が受け入れる嗜好など存在しないと考えた方がよい。

 

●推奨の宣言
 NGより優先度は低いが、推奨する嗜好……好む嗜好についても、ある程度は伝えておいた方がいい。
 とはいえ、性的嗜好が浅く広い人も多いだろう。
 そんな場合には“特に好む”嗜好のみ伝えるか、相手に合わせると言っておけば問題ない。
 あるいは、詳細まで言わずにおおよその好みの相手や行為を宣言し、全員の一致する推奨をプレイの指針としてもいいだろう。
 あなたがGMなら、自身の性的嗜好に基づいてシナリオやNPCを作成してまったくかまわない。
 もちろん、参加者のNGに抵触しなければ、だが。

 

●NGと推奨の内容
 突然に、NGや推奨を宣言するよう言われても、戸惑う人も多いだろう。
 NGや推奨にも“よくある傾向”が存在する。

 たとえば、改造・流血・堕胎・暴力などは大半の人が嫌う要素だ。参加者全員が推奨としない限り、少なくとも性表現として扱うべきではない。
 もっとも程度の差はあるので、特にNGという人はきちんと一言入れた方がいいだろう。たとえば、出血NGだからといって、破瓜もNGと察するのは難しい。

 多くの性的嗜好は、人によって位置づけが異なる。
 陵辱、体腔拡張、スカトロ、ニプルファック、尿道姦、超乳、超根、同性姦、近親姦、アヘ顔、子宮姦、触手姦、寝取り(寝取られ)、輪姦、オーク姦、触手姦、獣姦、キモ男、催眠、淫語、隷属、ふたなり、人外美少女などなど……(他にも無数にある)は、人によって好悪が変わる場合が多い。
 非常に好む人がいる一方、絶対NGという人も多数。
 時代によっても大きく変わるし、各個人の嗜好の移り変わりもあるだろう。
 NGではなくとも「何がいいかわからない」という嗜好もあるだろう。互いに明確に推奨でなければ、軽く相手の了解を得た方がいい。
 GMは、これらを軸にシナリオを組むなら、事前にPLとよく相談しておくべきだ。

 最も問題視すべきは、言われなければ気づけない、わからないNGである。
 異性姦、ロリ、ショタ、成人女性、成人男性、恋愛、ハーレム、羞恥、自慰、媚薬、処女、妊娠、巨乳、巨根、道具(淫具)、アナルなども、意外とNGの人はいる。
 その一方で、ごく普通の性的嗜好と思っている人も多いだろう。NGの場合は、優先的に宣言し、相手に強調しなければならない。
 これらのNGは共感されづらく、それゆえ「この程度なら平気だろう」と勝手に判断されがちだ。あなたの嗜好が他者の嗜好と一致するとは限らないし、むしろ一致しない方が多い。

 価値観のすれ違いは、人間関係の問題に発展しやすい。
 お互いの性的嗜好を尊重し合おう。
 理解できずとも、尊重はできるはずだ。
 性嗜好は必ず偏るものであり、NGがあっても悪いことではない。NGを持たない人もいるだろうが、だからといって優れているわけでもない。
 極端に好みが異なり、互いの一致した方向性を見いだせない場合、性的セッションを共にすべきでない。
 たとえ、通常のセッションを楽しく遊べる仲間同士であっても、だ。性的セッションにおいて、性的価値観の差はセッションを断わる十分な理由となる。
 NGを理由に断ったからと罪悪感を抱く必要はない。
 無理に己を抑えてセッション参加する方が失礼だ。
 これは日程や体調の問題と同じく、どうしようもない事情だと受け入れよう。

 

●移り変わる嗜好
 既に述べたが、人間は簡単に変わっていく。
 性的嗜好もまた同様だ。
 NGが推奨となり、推奨がNGとなり、また自身が気づいていなかったNGや推奨が新たに見いだされる――そんなことは、性的セッションにおいて珍しくない。
 自身の好んでいた嗜好について、相手が未知のプレイやアプローチで臨んだ結果、不快感を抱くかもしれない。自身がするならいいが、されるのは嫌だった……という身勝手な嗜好変更もありうるだろう。
 フィクション上のキャラクターと異なり、GMもPLも現実の人間だ。ドラマチックな出来事やトラウマなどなくとも、ある日突然それまで平気だった行為が、NGとなりうるのだ(その逆もありえる)。
 セッション中に突然、変化してしまう場合すらある。
 人の好みは刻々と変化する。
 それを責めてはならない。
 だが、セッションで己の変化を正直に述べることを、忘れてはならない。特にNGへの変化はセッションを中断させてでも、宣言すべきだ。
 これは恥ずかしい行為でも迷惑行為でもない。
 性的描写は良くも悪くも人に大きな影響を与える。
 性的セッションは“遊び”なのだ。
 遊びの中で、傷つくことに耐えてはならない。
 セッション中の追加NG宣言について、他の参加者は体調不良と同様の深刻さで受け止めること。己のNGに気づかなかくとも、決して当人の罪ではない。
 GMは新たなNGに抵触する場面描写を切り上げ、さっさと次の場面に移すこと。

 もっとも、あまりにも頻繁に変化するなら、当人の性知識不足か、相手側が特異すぎる可能性もある。
 少し落ち着いて見つめなおし、改めてコンセンサスをやりなおした方がいいかもしれない。

 

●複数PLのコンセンサス
 性的セッションの推奨はGM1人に、PL1人である。
 とはいえ、PL2人以上で遊べないわけではない。
 PLが複数いるなら、コンセンサスに一層の注意が必要だ。
 誰かのNGが、他の人間にとって推奨の場合、それが描写自体NGなのか、自身のPCやNPCに絡まなければ平気なのか、きちんと確認しておくことだ。
 そして、描写自体がNGの場合、全員がそれに抵触しないよう心がけねばならない。
 自身に絡まなければ……という場合、多少の展開矛盾を孕んでも、該当するキャラクターがそうした状況に陥らないよう、注意する必要がある。
 ともあれ、複数PLでのセッションは、コンセンサスの兼ね合いが非常に困難となる。
 細かなNGなどは伝達しきれず、ある程度は己を抑える必要も出る。全てのPCがNPCと絡む場合など、GMは対応しきれなくなるかもしれない。
 こうした点をよく配慮し、自信のある場合のみ、複数人数のプレイヤーを迎えよう。

 


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